Sunday, September 16, 2007

PKC関連の論文1

病気「PKC」の続き。

PKCについての論文を探してみました。

Topiramate therapy for paroxysmal kinesigenic choreoathetosis
トピラメート(Topiramate)という薬を100mgから200mg、8人の被験者に2年間投与し、PKC被験者が症状を起こさなくなった、という論文です。副作用も少ない、と書いてありますが、何に比べて少ないのか、そこは論文のアブストからでは判断できません。(一般的に効くといわれるカルバマピンに比べてでしょうか)

Effectiveness of lamotrigine in children with paroxysmal kinesigenic choreoathetosis.

ラモトリジンも効くみたいという論文です。ここら辺は、薬の効き目だけを謳う論文なので、薬屋さんとどれだけくっついているかも分かりませんし、注意深く読む必要があります。一概にこの薬がいいとは言い切れないのです。

Paroxysmal Kinesigenic Choreoathetosis and Paroxysmal Dystonic Choreoathetosis in a Patient with Familial Idiopathic Hypoparathyroidism
PKCの論文は少ないのですが、そのなかでかなりの量が日本の研究者によるものです。上の論文は、特発的な副甲状腺の機能低下とPKCやPDCの関連についてでしょうか。ちょっとこれから細かく読んでみます。

Wednesday, September 12, 2007

病気「PKC」

[2016/1追記:同一の症状のみなさんからも多々同感のお声をいただき、これまでコメントが90件近くにおよびました。病院をお勧めいただいた有益コメントもありますので、下のコメント欄をぜひご一読くださいませ(管理人)]

今回は、Webの力を借りて、同じ病気の人に対して、情報を広める意味でも、自分の病気について述べたいと思う。
これを書くかどうか、これまで非常に悩んだが、ある神経症患者の本を読んで、自分も何かできるはずだと思ったのがきっかけになった。


幼少から罹患した、病気なのかもよく分からなかったこの症状、
高校のときに先生の強い勧めで赤十字病院にかかり、以下の病名を始めて知った。


PKC [Paroxysmal Kinesigenic Choreoathetosis]
発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ
(パロキシズマルカイネサイジェニックコレオアテトーシス)



きわめて例の少ないものだそうで、最初は癲癇(てんかん・ひきつけ)と診断されそうになった。
内科では抱えきれないということで、神経内科にかかった。
すると、今度は頭を抱えて大学病院で精密検査をしろという。
てんかんによく現れる脳波異常はまったく現れない。
背中に大きな注射を刺す骨髄検査も行った。
これでも目立つ異常はなかったそうだ。
最終的には症状の詳細と付き合せた結果、この妙な病名を見つけていただいたわけだ。

病気が発症したのは小学校低学年の頃だったと記憶している。
それまでは、日常生活において何の不自由もなかった、大きな病気もしていない健常体だった。
それが、きっかけは覚えていないのだが、いつからか運動時に体がこわばるのに気づいた。



この病気の症状を詳述する。

<発作発症>
  • 運動を開始しようとする時、もしくは急激な運動に移行しようとした時、運動をきっかけとして発作が発生する。
  • 運動開始時に、かならずというわけでもない。また、運動開始をしなくても、たとえばずっと座っているにもかかわらず不意に発作が起きることがある。
<発作の時間>
  • 発作は大体2,3秒でおさまるときもあれば、20秒くらい長引くときもある。他のてんかんに比べると短いようだ。
  • 発作中、体の腕、脚が、先端(手や足先)から丸まるように、縮むように、ひきつけられていく。また、その発作中でも意識は正常であり、発作が起きていない体の部分を自分の意思で動かすことができる。さらに、ひきつけに対してある程度の抵抗はできるが、その丸まる力を完全に押さえつけることは困難である。そのため、発作時にはどうしても本人の意図せぬ体の動きがある。
  • 発作が起きるのは、たいてい何かの仕事を始めようとした時、自分が何かを求められている時である。たとえば、卒業証書を渡されるのに自分の名前が呼ばれて、はっとして動作を開始すると発作が起きる。そういう時は、他人の目も自分に向いていることが多く、名前を呼ばれたのに証書を取りに行かずに体がこわばっているのを他の人はいぶかしむ、ということになる。
  • 上の例のように、緊張する環境、場面、時間では、特に発作が起きやすい!ストレスがあると、余計に発作が起こることを僕は経験している。そうなると、運動開始時なんてもんではない。こういう経験が、さらに発作の発症に対する恐怖心を喚起し、そのストレスからまた発作が起きるという悪循環に陥ったことがある。このときは人前にでること自体が怖くてしょうがなかった。
  • 非道い時は顔がひきつる。こうなって初めて他人には、当人に何か異常が起きている、ということが分かる。このとき、僕はよく「酸欠」などと弁解した。だが、顔のゆがみ方は単なる酸欠には見えないらしい。
  • 発作の後は、酸欠のように頭がぼーっとなることがある。運動後のような血のぬけた感じがする。発作に抵抗するとよくそうなる。
<薬の服用>
  • 薬を常用することで発作がほぼなくなる。僕は、以下の文献でも紹介されているとおり、カルバマゼピン(商品名Tegretol錠)を常用している。高校の時に初めて診断がおりたときは200mg錠を毎日飲んだ。薬を処方されてすぐに症状はなくなった。ただし、少しでも薬を飲み忘れると、次の日には(血中濃度が著しく下がるためか)発作が起きる。現在は減薬し100mg錠を毎日服用している。
<期待されること>
  • この病気は30代を越えると自然治癒するという。僕はまだ20代半ばであるが、まだ完治はしていない。ただ、中学、高校の時に発作が最頻出した時期に比べると、幾分発作は現れにくくなっていると思う。

僕の経験を書いてみる。ちょっとでも同じ経験者のためになればいいが。

僕はこの発作でいくらか苦しめられた。
運動会では、まず徒競走などの競技はとても苦手だった。これは特にストレスが高い。ピストルもストレスになるし、急にスタートするという行為もストレスになる。まず間違いなく発作が起きるため、スタートがとても遅れる。頭では「走らなければ」と思い無理にでも発作に抵抗して前進しようとするのだが、そうすると余計に発作が強くなる。発作が収まった頃に後から追い上げても間に合わないため、足が遅いと見られる。運動することに対する恐怖がずっと付きまとうようになった。

もともとはバスケットボールが大好きだった。小学校のまだ症状の浅い時期までは、みんなとわいわいやれたが、中学に入ってから急に症状が重くなって支障をきたすようになった。そのため、バスケットボール部には入っていたが、そのうちまともについて行くことができなくなって幽霊部員になった。バスケットボール部顧問には、一度とても落ち込んだ僕の姿を見られたことがある。

友達にはとても説明などできなかった。それだけで変な人だと思われたら困ると思っていた。発作が起きそうになると、なるべく人に見られないところに隠れた。毎日を発作が起きないように、とびくびくしながら送っていた。

高校のときに、担任の先生が精密検査を強く勧めてくれた時、その先生はそれまでまったく僕の異常に気がつかなかったようだ。バスケットボール顧問からちょっと話を聞いていたのだというが、暮らしぶりはまったく普通に見えた(特別なことがない限り普通だから)。ただ、あれは高校1年のテスト期間終了後だと思う。添削されたテストが山ほど返ってきて、すべて担任が名前を読んでテストを配った。僕は名前を呼ばれて前に出るたびに固まった。最後には顔をしかめてうずくまった。そのときは、脚にも強いひきつけが起きて、まともに立っていられなかった。そのときに始めて、この子はまずいと思ったようだ。

薬を処方される前が一番つらかった。僕はこの症状を親にしゃべっていなかった。親の前ではそれほどストレスがなく、発作が起きないので、気づかせることがなくそれまでやってきていた。高校の担任から初めてこの症状のことを聞かされた親は、勧めどおり僕を病院へと連れて行った。だが、病院はストレスの宝庫なのだ。待ち時間のあと、名前が呼ばれて起ち上がるときに、僕は初めて親の前で思いっきり発作を起こした。そのときに、僕の親は発作を起こす息子を見てショックのあまりほとんど泣きながら僕を診察室に連れて行ってくれた。ショックを与えたのが分かったので、発作を起こしながら、ごめん、と心の中で思った。病院での親の粘りもあって、今こうして正しい病名を知り、正しい処方を受けることができている。

薬を服用するようになってから困ったこともある。
Tegretolは発熱などいくつかの副作用を伴うことが知られているが、僕はそんなことはあまり気にならなかった。僕にとって薬の影響が大きく出たのは、耳だった。
中学の頃からロックに傾倒するようになり、音楽を聴くことは自分の人生の一部になっていた。薬をまともに飲み始めた高校には、バンドを結成し音楽を演ずるほうにもなっていた(演奏にもとてもストレスを感じ、またたまに発作が起きてはいたが、好きなので続けていた)。薬を飲んだ次の日、周りの音がすべて「半音」(全音の半分、オクターブの12分の1)下がっているように聞こえた。さらにテンポもかなり遅くなっているように感じた。最初は、ギターのチューニング(調弦)が狂ったんだと思った。すると、ギターだけでなくて、ラジオやCDの音全部が狂っていることに気がついた。このときは、どうしようかと悩んだ。楽しそうな曲もなんだか気の抜けた感じに聴こえるし、ハリがなくなっているように思った。
最近では、この現象にはすでに慣れていて、半音下がったほうに自分の感覚を合わせている。
また、少し眠くなる副作用もある。テストのときなどは、夜遅くまでテスト勉強をしていたが、薬を飲むと限界が早くに来るようになった。

でも、発作が起きなくなったことで広がった可能性のほうが断然大きかった。
高校では、バンドで何回かライブをすることができた。
また大学に進学できた。それまでは上京することなんか考えることもなかったが、自信を取り戻せたこと、ストレスを軽減できたことは、上京の一助になってくれた。大学に入ってからも音楽活動はやり、ライブもこなした。また新しい趣味も増やすこともできた。
それに、いろいろな人前で自分の作品や活動をアピールすることがそれほど怖くなくなった。これはとても大きなことで、考えるだけでもストレスだったのに、実際に行動に移せるようになったのは、結果として残せるものがぜんぜん違ってくるのだ。

少々がっかりしたことは、この病気の根本的治療法がないということだ。
上京し東京大学に進学し、学内の東京大学付属病院に紹介を得て診察をお願いした。しかし、そこでも決定的な情報はなく、Tegretol錠の常用を継続するしか方法がなかった。ここで情報がなければ、もうどこにもないのでは、と諦めがついた。今は、ある年季に自然治癒するというその一事だけを希望に、病気とうまくやっていこうと思っている。

これだけ情報が手に入る社会になっても、Web上にあるPKCの情報は少ない。
以下に見つけたものを載せておく。

罹患者の個人ページ(情報をまとめている。体験談等含む)
http://www.kct.ne.jp/~ohba/paroxysmal.html
染色体の異常との関連性を調べた論文(ちょっと難しい)
http://www.nagasaki-u.ac.jp/zaigaku/ronbun/ronbun0706/ishiyaku0706/ishi0706-i-2/ishi-i104ronbun.pdf

今後、英語の文献等を探して、有益なものを取り上げて行こうと思う。
長文だったがご容赦願いたい。

Monday, September 10, 2007

秘密

本当の正直者は、「お前はうそつきか?」と聞かれて「いいえ」と即答しない。


これはよくある精神分析の問題だそうだ。
本当の正直者は、自問自答をし、人生で一度たりとも嘘をついてないと言い切れるかを考え、その場合「いいえ」という解はたいてい嘘になるため、「いいえ」とは答えられない。
100%他人に自分を正しく打ち明けられる人間はいないし。
そもそも、自分を100%正しく知ってる人間はいなさそう。

Thursday, September 06, 2007

Jane's Addiction =: Filter

FilterというNine Inch Nailsから派生したバンドがあります。
このバンドを先に聞いていたので知らなかったですが、
さっきJane's Addictionを聴いたら、すごいそっくりでした。
つながりあるのかな?